「死のにおい、写真、愛の欠如。」
インドのなにに惹かれるのか。
におい。
ただ、それだけ。
夜の街を走る窓のないバスの中。
私の鼻腔を心地よく代わる代わるに過ぎ去ってゆくそのにおいは、
白檀のにおいであり、糞尿のにおいであり、麝香であり、腐敗のにおいであり、
性のにおいであり、生のにおいであり、死のにおいだ。
ここ、最近のこと。
これまでのわたしの写真が
とても愛が欠如し、
つまらないものだったと、
気づいてしまった、
インドはポンディチェリーで
1人、カレーをたべながら。
え?なに。
やべえ、
つまらねえ。
おおーーいえーすっ。
ということで、1から出直し。
無意識に写真は、継続とともに、それっぽくなってしまうもの。
ほんと、それっぽいだけ。
ああ、写真が撮れない、撮れない。
いいなあ、こういうの、きらいじゃないぜ。
そういうときは、カメラをかえるんだ、
どでかいカメラ、4台をまずはほおりだし、
35ミリフィルムカメラ。
をどこかで買おう。
進んでは後ろへ戻る。
くるくるまわっては同じ場所にもどってくる紙ヒコーキのよう。
そんなもんさ。
でも、大丈夫。
様々なにおいはわたしを覚醒させ、
ひとたび昇天したら最後、
そこからが早いのが
写真制作のたのしいところ。
わたしたちには大きな愛がある、
インド、ケーララにて。