座敷童
モンスーンのカラングートは停電の嵐。
やれやれ。
今日はもう仕事できないかな。
今日、やっと、外国人登録を終えた。
登録所に到着し、住所変更などの追加の書類を提出しようとすると、タイプライターを打つ彼が背中越しに言う。
「外でまってて」
あー、知ってる知ってる、それ。
あなたいう、そとでまってて、わたしまつ、あなたわすれる、じかんたつ。
そういうときは、良い方法。
座敷童になれ、だ。
わたしは外ではまたない。
といって、文句もなにもいわない。
登録所の片隅で、ひたすら座敷童のように、とある強いオーラをだしながら
受付の彼を凝視することだ。
もちろん、色々なTPOも考えて、今日のわたしの格好は、レギンスの上にハーフパンツ、上はパンジャビードレスと
女は肌を露出しないというインドの考え方を尊重して、若干(?)ストレンジではあるが、それなりの目立つ格好である。
このとき、顔は怒っていてはいけない。20パーセントくらいの不安感を少し香辛料としてプラスするといい。
ひたすら、へんてこな格好をした、座敷童だ。
そうすると、動物的感覚が、なにかの危険を察知するのだろうか。
「あいつを先にかたずけよう」
タイプライターの彼の手がこっちへ来いとよんでいる。
並んでいるポルトガル人やアメリカ人、10人は簡単に超してしまう。
「ごめんなすって。」
最後に、えらそうなおばさんと1分面接をして、登録終了。
すると、隣のポルトガル人が、猛烈におこっている。
「なんでこいつが先なんだ、俺はずっとまっているのに!!」
だよね、だよね。
彼の怒りは収まらない。わたしはずっと、THE 座敷童。
あまりにもお行儀の悪いポルトガル人に、登録所の彼が、
「おだまりっっっ!!!」
登録所の彼を怒らせてしまったポルトガル人の順番が早くくることを今日のところは祈りたい。