Ali uchida

写真家 内田亜里のブログです

フィルム ー3回みる風景、光のレッスンー


フィルム現像を連日しています。



夜しか手が開かないので、夜な夜な、カタカタとタンクをふる音が怪しく小さく開いた窓から漏れています。


わたしの作品は、ほぼ全てがフィルムで撮影されたものです。

デジタルは、わたしにとっては、作品以外の仕事用、そしてブログなどの資料用としての位置づけです。
感覚としては、ビデオカメラに近いでしょうか。


写真は、3回その対象を観る、と学生時代の授業で習いました。

最初は、もちろんカメラを向けて対象と対峙した時、そして2回目はフィルムが現像された時、
そして最後の仕上げ、プリント作業で3回目の風景との対峙になります。

いま2回目の風景を見ています。

なにがうつりこんでいるかのドキドキ感は、やはりデジタルでは味わえません。
そして、デジタルとフィルムでは圧倒的に撮影時の身体感覚は違います。
言葉にはできない化学反応がフィルムを通してわたしの体におこるのです。



そして最近、もう一度、光をよくみてみようと意識しています。
光がどうさして、どこで反射して、ここにたどり着いているか。
わたしはいま風景写真をとっていますが、これを意識しないとまったく写真は別物になります。
写真は光がないと写りませんから、基本の話ですが、結構忘れがち、対象の面白さやインパクトにおわれて
わすれがちなのです。光を意識しない写真は、美しいとはいえないのです。


これから冬にむけて、光は低い角度から差し始めます。
物や人や風景の陰影をより強く浮き立たせる、そんな季節です。



何をいいたいのかといえば、現像の反省も込めて、良い写真が撮りたいです。