「インドにいって、写真だめになったね。」
と、くすくすと笑いながら、双子の妹がささやきます。
「おう、上等だよ。」
そんな1人問答を、この広い部屋で繰り返すのもお手の物。
純粋無垢な自由があり、愛に溢れ、写真を探求できる時間がこれでもかとある。
で、
写真がまったくおもしろくない日々。
しかし暗いトンネルで1人体育座りをしていても、ただの気持ち悪い座敷童だと人はよけていくだけ。
ということで、写真学生がはじめて持つようなカメラ、ニコンのFM2をゴアの写真館でゲットし、
心機一転、撮影しようというワケ。
レンズは50ミリ1本。
このレンズはこの写真館の親父のお母様のもの。
とっても状態が良い。
このお母様はとても有名なカメラマンで、とある写真集の表紙にもなっているイカしたお母様。
今はもうなくなられているが、その写真集の表紙に移った凛とした強いまなざしは印象深い。
親父は言う。
「あんたラッキーだよ、このレンズはわたしの母のものだ、良い写真がとれるよ」
さんくす。
ゴアはポルトガルの影響が強く残る不思議な街。
ビートルズだって葉っぱを吸いにきた、かつてのヒッピーの聖地。
目の前の状況をまずはまっすぐにとらえればいい。
プロジェクトだから、コンセプトは重要だけれど、
そこからはみ出す、みにくいアヒルの子みたいな写真が最後にのこってくれたら
それでいいではないか。
で、なぜだかわからないけど、
変われるような感じがする。
いままでとは違った、
欠如してるけど、その具合が違うみたいな。
よくわかんないけど。
予感だけする。
来月にはマドライで展示、
来年にはサンティニケタンで滞在制作、
できたらポルトガルでも展示できたらイイネ!なんて、
周りはうごいているのです。
え?ぽるとがる?
ここは逃げ場がないのです。
やることは1つ。
甘えるな、
写真を撮れ。