Photo diary from sajima

写真家 内田亜里のブログです

インド映画 「PATHER PANCHALI 大地のうた」

毎日、大雨です。
今日は、風もつよく、電気もないので、作業が中断しています。

昨日、インドの最高傑作といわれる「PATHER PANCHALI 大地のうた」を見ました。

1955年につくられたモノクロの陰影とコンポジションが非常に美しい映画です。

1920年代のベンガル地方の田舎を舞台に、バラモンという階級で学もあるが仕事がなく
極貧の生活をしている家族4人の物語。
弟と姉、または老婆を主軸に物語がすすんでいきますが、老婆以外のキャスティングは当時の
コルカタの一般の市井の人々です。

あまりの貧しさのなか、父は出稼ぎにむかうがうまくいかず、音沙汰もないまま、5ヶ月がすぎてしまう。
母は嘆き、居候である老婆に冷たくあたるが、心が優しい子供たちは秘密で農場の果実を盗んでは、
この老婆にあたえつづける。
この老婆の演技が、とてつもなく良いのですが、フィルム独自の粒子の荒さとモノクロームの海のなかで
老婆のすこし狂気じみた、しかし美しくどこか知的な表情は、見るものの心にストレートに訴えかけます。

この老婆は自分の死が近いことを知り、厄介がられている家をでて、最後の水をのみほしたあと、森のなかで
座るように亡くなっていきます。

そして、毎日貧しいながらも楽しく暮らしていた弟と姉。
その姉もある嵐の晩、肺炎によって亡くなります。
このシーンも、貧しい荒ら屋のなかに嵐が吹き荒れ、ろうそくの火は強くなびき、雷によって点滅する部屋のなかの
ガネーシャ像が生と死をある恐怖のなかで象徴的に表しています。

父が長い出稼ぎから家へ戻ったのは、すべての嵐が去ったあとだった。

深い悲しみのなか、家族は、よりよい人生のために、ベナレスに移り住むことを決断します。

インドの聖地、ベナレスに。

時に人間は生まれ育った土地を離れ、幸せを求めて動かなければならないと信じて。


この映画の監督はサタジット・レイ 。黒澤明監督とも深い親交のあった人です。

この映画は、リアリズムを追求し、そのなかから、あらゆる人間の生と死、苦悩と喜び、
を表現している傑作であると思いました。


電気こないかなあ。